WILD THINGS
WILD MY THINGS 私のワイルドなシングス。 Vol.18

SINGER-SONGWRITER

UCARY & THE VALENTINE

WILD MY THINGS Vol.18

アーティストとして進化し続けるために
変化する自分を嘘なく音楽に投影する
時代のキーマンとワイルドシングスがクロスオーバーする連載企画「WILD MY THINGS」。第18回はミュージシャンのUCARY & THE VALENTINEさんが登場。
ずっと身近にあった“ものづくり”
――音楽性やアティチュードとしてパンクロックが下地にあることは明白ですが、まずは幼少期の興味から伺っていければと思います。UCARYさんは、どんなお子さんでした?

UCARY:お父さんがデザイナーであり、カメラマンであり、編集者でもあるっていう人で。ファッションの雑誌を作っていたから、身近に服がめっちゃいっぱいあったんです。服も好きだし、音楽はパンクとかレゲエ、ブルースが好きで、CDやレコードも家にたくさんありましたね。お母さんは主婦でありながら刺繍のお仕事をしていて、お兄ちゃんはずっと楽器をやっていました。みんな仲は良いけど会話はそこまでなくて、家ではずっと誰かが何かを作っている感じ。
――何かを作ることが常に身近にあったと。

UCARY:はい。わたしはわたしで、お父さんの仕事部屋で面白い紙とかスプレーとかを使わせてもらって、洋服をリメイクしたり、絵を描いたり、ネックレスを作ったり。
――そういう状況でしたら画家やファッションデザイナーの道に行く選択肢もあったのかなと思うのですが、音楽を選んだんですね。そのきっかけは?

UCARY:ファッションや絵は日常の中にあったからそれが仕事になるとは当時の幼い自分は思っていなくて。そんななかで小学6年生ぐらいで初めて自分で曲を作ったのですが、それがすごく楽しかったんです。
――なるほど。さらっとおっしゃいましたけど、12歳で楽曲制作ってすごいですよね。

UCARY:​​今でもその曲はライブでやっていますが、多分持っている曲の中でも一番渋いです(笑)。限られた環境と機材で作った曲なので、かなりミニマルというか。
――ちなみにどんな曲なんですか?

UCARY:『Hello』という曲で、月と太陽の恋愛の歌です。お母さんと道を歩いてて、月が昼間に出ているとき、あるじゃないですか。それを一緒に見ていて「月と太陽が出会うことってあるんやなぁ」と会話をしたんです。月と太陽が出会って、どっちかがまた会いたいって思ったとき、次はいつぐらいに会えるんやろう? って思ったことをきっかけに作った曲ですね。
――そういった会話であったり、日常で見てる風景をきっかけに楽曲制作することが多いですか?

UCARY:そうですね。結構、映画とかからも影響を受けています。というのも、音楽を始めた頃は人とコミュニケーションを取ることが苦手で。まだ恋愛もしたことなかったし、友達も全然いなかったから、歌にしたいと思う出来事や感情が自分の中になかったんですよね。だから、自分の夢で見たこととかを歌にしていたんですけど、それだと限界があるなと思った。もっと人と関わらないとあかんなと。それで、人見知りやったんですけど、自分からどうやって喋り始めたらいいのか、人との喋り方とか、自分がどう見られたいのかとかを、映画から教わったんですよね。いろんな映画を見てて、あ、このキャラクター好きだなとか、こういうセリフ素敵だなとか。そういうので、今の自分ができていると思います。実際、自分の言葉で自分の想いを喋れるようになったら、やっぱり映画は映画だなって思いましたけど(笑)。
ファッションも音楽も自分らしく
――今回、3スタイルご自身で作っていただきいろんなシチュエーションで撮影してもらいました。

UCARY:MINOLTAのフィルムカメラで撮影しました。いまは2拠点生活みたいなことをしていて、東京や地元、ライブで周った場所など、日常のいろんなシーンですね。ここ最近はずっと『Puff Jacket』を着て過ごしていましたが、本当に着やすくてめっちゃ愛用していました(笑)。お母さんとかもきっと重宝しそうですよね。ウエストが絞れて綺麗なシルエットも出せるからお洒落に着られるし、多少汚れても手で払えば綺麗になる。軽くて疲れないし、ポケットもいっぱいあるし、ファスナーがあるから、モノを落とす心配もない。
地元の駅で。ちょっとご飯食べ行こ〜みたいなときで、かなりラフな感じ。
気に入ってるシューズはNew Balanceの990。スニーカーを履くことが多いです。
――ご愛用いただいてありがたいです。かなりUCARYさんのスタイルにもハマっているように感じましたが、ファッションのマイルールみたいなものって何かありますか?

UCARY:必ずどこかに明るい色を入れること。真っ黒とかも好きですが、色が入ったスタイリングって楽しいんですよね。お花のようなイメージというか。お花って、絶対に綺麗じゃないですか。どこかで1色入れて、しかもそれが遠いとこでリンクしてる、みたいなのが好きですね。
ブルーとイエローを基調に、動きやすく。
ライブとライブの合間に撮った写真で、移動が多かったから顔が疲れています(笑)。
――なるほど。結構パンツスタイルが多いというか、ラフな服装が多い印象です。

UCARY:いろんな格好しますけどね。ライブが多かったり、移動が多いとラフになっていく傾向はありますが、手を抜いているわけではなく、これはこれで結構好きなんです。スウェットパンツにキャップにダウンジャケット。ライブの衣装とかは結構奇抜なものを選んでいますが、今日の服装も限りなく普段の自分、という感じで、お気に入りです。
セージとラベンダーも好きな組み合わせ。
外ポケットと内ポケットにもいろんなものを入れられるから、手ぶらで気楽に出かけられるのも嬉しいポイントです。
――最後に、2023年にEPのリリースを予定しているとのことですが、どのような作品になりますか?

UCARY:今回のEPでは、悲しいとか悔しいとか、そういうこれまでは隠していたネガティブな部分も歌詞にしてみたり、メロディにしてみたりしています。というのも、やっと自分を出せるようになってきて、ミュージシャンとしてのUCARYが始まった感じがしているんです。そういう作品ですね。絶賛制作中ですが、春頃までに出せるよう、最後の仕上げをしているところです。
――自分の中のネガティブな要素も出せるようになってきたと。何かきっかけがあるんですか?

UCARY:2021〜22年はプライベートでいろんなことがあり、正直ちょっとしんどいなと思う瞬間もあったんですよね。もともとはミュージシャンとして、なるべくネガティブな部分を見せるべきではないと頑なに思っていて、“自分が理想とする自分像”を見せてきたけど、あるときに「なんかわたしピエロみたいやん」って思ってしまったんです。もっと、ありのままのわたしを受け入れてもらいたいし、アーティストとして、進化もしていきたい。近頃は音楽性も徐々に変わってきていて、これからわたしがやっていきたい音楽は、もっと大人になって80歳、90歳、100歳、声が出なくなるまで歌えるようなもの。そういう音楽を作っていきたいと思っているから、そんなわたしを受け入れてくれる人たちに聞いてもらえたら嬉しいです。
――決して突き放すわけではなく。

UCARY:はい。胸をはって「これが今のわたしです」と言える作品です。楽しみに待っていて欲しいですね。
PROFILE
UCARY & THE VALENTINE
シンガーソングライター
兵庫県生まれ。17歳で始めたバンド"THE DIM"で作詞作曲・ボーカルを担当。2011年に活動を東京に移し、ソロ名義“UCARY & THE VALENTINE”を始動。現在はソロプロジェクトでの音楽制作だけでなく、さまざまなアーティストのゲストボーカルやバックコーラス、アレンジャーとしても活躍。また、国内外のCM楽曲提供、雑誌やWebでのモデル活動、ANARCHY TECHNOのグッズデザイン、他アーティストのアートワークなど多方面で活動中。
INSTAGRAM : @ucary_valentine
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