WILD THINGS
WILD MY THINGS 私のワイルドなシングス。 Vol.16

BEAMS | BUYER

SHINGO ARAI

WILD MY THINGS Vol.16

バイヤーのスタンスは
真面目にふざけること
時代のキーマンとワイルドシングスがクロスオーバーする連載企画「WILD MY THINGS」。Vol.16はビームスのバイヤーとして活躍し、手掛ける別注企画や、自身のスタイルにも大きな注目が集まる、新井伸吾さんが登場。
‘90年代の憧れを表現した
ワイルドシングス×ビームス
――新井さんといえば、「新井企画」と称される別注手腕に注目が集まっています。さまざまなブランドを手掛けられていますが、新井さんなりの別注に対する共通点などはあるのでしょうか?

新井:そのときのシーズンや気分にちょうどいい別注ですね。あとは来年着られるか、ということも考えます。
――だからか、わりとベーシックなモノが多いですよね。いじり過ぎていないといいますか。

新井:そうですね。ホント、微妙に違うだけでいいんですよ。でもちゃんと意味があって、クセがあるというか。
――なるほど。それがそのブランド、アイテムのファンの琴線に触れるんでしょうね。

新井:単なるアレンジではなく、どの別注でもストーリー性を持つように心がけていますね。
――アイデアはパッと湧くものなんでしょうか?

新井:だいたいは勤務後に、同僚達とお酒を飲んでるときです(笑)。
――え、そうなんですか(笑)。

新井:本当ですよ。ほぼ毎日、企画について話しながら飲んでます。一番調子が悪い日は月曜で、いい日が金曜(笑)。結構、いいネタが出てくるんですよ。ただ誰一人、メモをとるとかもしないので、次の日には忘れてることも多い(笑)。でもすごく楽しいですよ。
――2022 FALL & WINTERではワイルドシングス×ビームスのキルテッドパーカも手掛けられました。’90年代にあったアーカイブをもとにしていますが、新井さんは当時からご存知でしたか?

新井:はい、僕も着ていたアイテムなんですよ。そういえば別注では作ってないけど、パーカに加えてベストも着ていましたね。
‘90年代のアーカイブ
「リバーシブルフーデッドジャケット」
――当時はどういう印象を持っていましたか?

新井:当時からワイルドシングスといえばデナリジャケットが看板アイテムでしたが、このリバーシブルのフーデッドジャケットもすごく人気がありました。よく服好きが着ていましたね。波状のキルトが珍しく、リバーシブルってのも見所だった。しかもね、このアーカイブみたいに、表裏がトーナルカラーだったりするのも渋いんですよ。他にも配色のパターンがいろいろあったりね。
――別注で異なる点はどういったところですか?

新井:まずサイズ感ですね。シルエットを一から起こして、やや落ち気味のアームにしたり、身幅を少し広めにしたり、フードを大きめにしたり。アーカイブよりも少しゆったり、今っぽいフィットにしています。逆にデザインはほぼ変えていません。当時を彷彿とさせつつ、現代的なフィットを狙いました。あとはリバーシブルの配色ですね。このアーカイブと違ってガラッと違う配色にしてみたり。
――’90年代っぽい色ですよね?

新井:そこも狙いました。そしてあえて毒々しいコントラストのリバーシブルにしようと。あとはビームスならではのクレイジーカラーを作ったり。今回も他の別注のように、真面目にふざけてますね(笑)。
――インスタグラムの投稿も注目を浴びていました。また新井さんは「この別注を企画したときから、こう撮りたいと決めていた」と話されていました。その絵作りの心を教えていただけますか?

新井:このキルテッドパーカが人気だった’90年代は、すごくフリーマーケットが盛んな時代で、かっこいいアイテムを売ってる人が多かった。セレクトショップの関係者が、個人的に出店していることも多かったんです。僕はまだ学生だったんですが、その人たちがすごくかっこよく見えた。とくにビームスの人たちのブースはひと際輝いていて、憧れだったんですよね。そんな先輩方がよく着ていたのが、ワイルドシングスやアウトドアブランドのウェア。その空気感を再現しようと思ったんです。
――これは’90年代を知る人にとっては、思わず胸が熱くなる絵ですよね。ビームスのバイヤーが一堂に集結していますが、服装なども’90年代を意識しているんですか?

新井:はい、そうしてます。ただ、コーディネートはみんな自由に着てもらいました。
――現代の新井さんならどう着こなしますか?
新井:ターコイズ×パープルを、他のアイテムで色を拾って着たいかな。多彩なフリースやスニーカーで、カラーマッチングを楽しみたいですね。
――ではワイルドシングスのインラインのアイテムでいうと、どのアイテムが気になりますか?
新井:やはりデナリジャケットですね。色はデザート。ビームスとしても個人的にも、2022の秋冬はブラウンがキーカラーなので。デナリも他のアイテムとカラーマッチングを楽しみたい。例えばティンバーランドの名作、ビーブロこと、ブラウン×グリーンのヘリテージ ゴアテックス モックトゥ ミドルに、こちらもブラウン×グリーンの、ビームス別注のニードルズのセットアップを合わせたり。
――新井さんは2000年代にデナリジャケットを愛用していたそうですが、今季のモデルはいかがですか?

新井:シェルがパーテックスになって、だいぶ着心地がしなやかになってますね。めちゃくちゃ快適ですよ。以前と変わらないリバーキルトの滑らかなライニング、メッシュポケットも便利ですね。やっぱりまた、デナリジャケットを別注してみたいな。
PROFILE
新井 伸吾
ビームス | バイヤー
ビームスTの名物店長として知られ、2017年にメンズカジュアル バイヤーに就任。世界的なブランドとのコラボをはじめ、数多くの話題の別注を手掛けている。業界随一のスニーカーフリークとしても知られている。
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