WILD THINGS

vol.4 - 後編 -
柏倉隆史
Takashi Kashikura
音楽家/ドラマー
toe、the HIATUSのドラマー、木村カエラやACOなど多くのアーティストのサポートミュ ージシャンとして活躍する柏倉さん。今回は現在の活動のスタイルや、バンドの魅力を語 ってくれました。
――REACHが解散して、toeのメンバーとして活動する傍ら、木村カエラさんのサポートメンバーになったのはいつから?
Takashi:2005年ですね。それから一つのバンドメンバーとしてだけでなく、今のようにいろんなアーティストのサポートミュージシャンとして活動するようになりました。“野良ドラマー″のスタイルですね。
――サポートミュージシャンとしてだと、バンドとは違う部分ってどんなところ?
Takashi:バンドもそうだけど、サポートメンバーとしてもやはりオリジナリティは求められます。だから指名しているわけで。ただ、うまけりゃいいってもんでもない。相手が求めているところを理解して、オリジナリティを出す必要があると思います。また演奏する音楽のテイストは違うけど、ドラマーとしてのキャラクターはそのまま求められていると思いますね。
――ではサポートミュージシャンとして喜びや楽しさを感じるときは?
Takashi:レコーディングやツアーなど、プロジェクトをみんなで頑張って成功したときですね。そんなときは、もっとしたい、ずっとやっていたい、という感覚にかられますよ。プロジェクトが終わって、メンバーが散っていく寂しさみたいなものも感じますし。
――toe、the HIATUSとバンドメンバーとしてはまた違った楽しさがあるの?
Takashi:うーん、そうですね。私にとってライブはライフワークみたいなものなんですよね。自分たちのバンドでライブはやりたい。だからREACHが解散してからも、toeの活動、ライブは続けていました。そのなかでいつだったか、日比谷の野音でライブをしたときに、お客さんから「元気が出ます」って声を掛けてもらって。インディーの頃からそんなこと言われたことなくて、ましてtoeのような音楽で、そういうことを言ってもらえるのかと。言われた瞬間は、イマイチその意味を理解することができなかったけど、自分たちの音楽が受け入れられていくって、こういうことなんだなー、と感じるようになりました。それはthe HIATUSや木村カエラちゃんのライブでも学んだことであるし、今ではライブに来てくれるお客さんには、ありがとう、という思いしかない。自然とそういう気持ちに変わっていきましたね。
――toeはCMでも聞くし、海外ツアーも成功しているよね?
Takashi:そうですね、海外もいろいろ行きました。アジアにヨーロッパ、アメリカ、カナダ、南米も行きましたね。
――2020年で20年目を迎えるけど、メジャーの話とかはないの?
Takashi:メジャーの方からのお話は、だいぶ昔にあったことはあります。ただ音楽やバンドを生業にしていくって方向とは、やっぱりtoeは違うと思ったし、だからこそメンバーそれぞれが職業をもってやってきたんですよね。
――ところで、よくツアー先でもランニングをしてるようだけど、やはりドラマーはフィジカルが重要なの?
Takashi:すごく重要だと思います。また私が走るようになったのはフィジカルな面だけでなく、フォーティ・クライシスが原因なんですよ。40歳前後の男性がなることが多い、アイデンティティが大きく揺らぐ現象ですね。妻の実家の事情で、私はいま横浜で逆単身赴任みたいな感じで、家族と離れて暮らしてるんですが、その頃ちょうど家族が離れるタイミングもあって、いろいろ歯車が噛み合わなくて。仕事もやってはいるけど、自分のなかでは全然楽しくない、やる気が出ないみたいな状況で、酒の量も増えて生活がすさんでいった。それでいろいろ調べたら、フォーティ・クライシスだってことがわかって、それまでの生活を一変するように、やりたくないことをやってみようと。それから酒、たばこをやめて、食べ物を見直してファスティング(断食)したり。運動もその一つで走るようになりました。今では一か月に70㎞走っています。
――そんなことがあったんだ。誰かに相談したりはしなかったの?
Takashi:する人にはしていました。ただtoeのメンバーなどは治ってから話したら、「そうだったんだ」みたいな(笑)。でもこういう現象は自然と漏れ出てくるものなので、気付いていた人は気付いてたんじゃないかなーと。
―― 家族と離れて暮らしてて、一人で乗り越えたのはすごいね。
Takashi:いやいや一人でなんて、相談した人からは励ましや元気をたくさん頂いていたので。けどホルモンの異常だって、原因を理解できたのがよかったですね。それでライフスタイルを変えられたし。前はいわゆるバンドマン、みたいな生活だった。皆さんも知識として持ってた方がいいですよ。大殺界みたいになるから。
――最近ますますドラマーとして注目度が高まっているけど、今後やってみたいことはある?
Takashi:2020年はtoeが結成20年周年、the HIATUSは11年目を迎えますが、たくさんの音楽をたくさん素早くというよりも、一つずつ丁寧にやっていけたらいいなと思っています。サポートミュージシャンとしても、なぜ呼ばれたかをきちんと理解して、チームの一員として力になりたい。切に願うのは、楽しいことだけで時間を埋めていけたらいいですね。あとは何かやれるように、その下準備かな……。ソロなんちゃら、みたいのを出せたらいいなーって。憧れですね!(笑)
――それはぜひ聴いてみたい! 楽しみですね。
Takashi:“柏倉隆史・エクスペリエンス”、みたいなノリでやってみよっかな(笑)。
Profile
柏倉隆史/Takashi Kashikura
1976年神奈川県川崎市出身。’90年代のメロコアパンクシーンを牽引した、DAMAGE、REACHの元ドラマー。2000年に、いま世界的な人気を誇るtoeを結成する。2005年から木村カエラのサポートミュージシャンとなり、ACO、コトリンゴ、黒木渚、ももいろクローバーZ、Supefly、ポルノグラフィティなど、さまざまなアーティストのレコーディング、ライブに参加。2009年からはthe HIATUSのメンバーとしても活動している。


【柏倉隆史シグネチャーモデル】
https://canopusdrums.com/jp/sig-1465-tk1/

【Twitter】
@shuumaibentoe

構想から6年もの歳月をかけて実現した柏倉隆史シグネチャーモデルが発売されたばかり

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