WILD THINGS
WILD MY THINGS 私のワイルドなシングス。 Vol.10 SPECIAL

nonnative|DESIGNER

TAKAYUKI FUJII

WILD MY THINGS Vol.10

「これはこれでしかない」
デナリはそう言える稀有なアウターです
時代のキーマンが愛用しているワイルドシングスを聞く、連載企画「WILD MY THINGS」。Vol.10から2回連続で、ファンならぜひ知りたいスペシャルインタビューをお届けする。Vol.10ではノンネイティブのデザイナー、藤井隆行さんが登場。ワイルドシングスが日本で人気に火が着いた、’90年代の希少なエピソード。そして自身の経験をフィードバックした、ワイルドシングスのマスターピースについて語ってくれた。
「‘80年代の幻の名品」
とも言われていた
――藤井さんが愛用するワイルドシングスといえば、やはりデナリジャケットですか?

藤井:そうですね。初めてワイルドシングスを知ったアイテムでもあり、学生時代から愛用していたので、僕にとってはワイルドシングス=デナリジャケットのようなイメージですね。
――初めて知ったという時期はいつ頃でしたか?

藤井:1996年ですね。大学に近い洋服屋さんでアルバイトをしていて、そこのお店にデナリジャケットが入荷してきて知りました。
――ワイルドシングスが日本に本格的に上陸し始めた頃ですね。

藤井:そうだと思います。デナリジャケットは、「’80年代の幻の名品」みたいな、触れ込みもあったような気がしますね。
藤井さんが所有する
’90年代前半のデナリジャケット。
――デナリジャケットと出会ったときの、当時の印象はどんなものでしたか?

藤井:当時はパタゴニアやザ・ノース・フェイスといったブランドが、ファッションとしても人気になり始めたアウトドアブームだったんですが、そのなかでも一番ファッショナブルだった印象があります。デナリはダウンと同じような中綿入りのアウターですが、こういうマウンテンパーカデザインのモノって、他になかったんですよ。
――ああ、なるほど。ダウンジャケットは表のシェルにキルティングのステッチがありますが、デナリジャケットはないですもんね。

藤井:そうそう、そこも大きく惹かれたところですね。でもプリマロフト入りだから、ダウンばりに温かい。しかもダウンと違って水に強いというメリットもあるし。あとはデザインとして、フロントポケットのカッティングも気に入りましたね。
――デナリジャケットのアイコンともなっているデザインですね。

藤井:そうですね。シェルのテカテカしていない質感も、ファッションとの親和性があったんだと思います。今日持ってきている上陸初期のデナリジャケットは、ゴアテックスシェルですね。その後、同じく防水透湿素材のeVentに替わりましたが、それもマットな質感で着こなしやすいんです。デニムやグラミチパンツなんかと、よく合わせてたな。懐かしい。
――当時はファッションや洋服を好きな人に注目されていたんですか?

藤井:主にそうだったと思いますよ。他のメジャーなアウトドアブランドでは、ファッションとしてちょっと物足りない。そんな人たちから注目されていた印象がありますね。また色もよくてね。こういうグレーとかは、他のアウトドアブランドのアウターには、なかなか見られない色だったので。あとマスタードなんかも、人気があった記憶がありますね。
随所にノンネイティブらしさが感じられる
別注デナリジャケット
こちらは2019年のノンネイティブ別注デナリジャケット。これまでの別注のなかでも、藤井さんがとくに着用しているモデルだとか。
――藤井さんは2017年からノンネイティブの別注による、デナリジャケットを手掛けるようになりました。別注第一弾の2017年はノンネイティブの直営店と、ビームスが展開するピルグリム サーフ+サプライにて販売されましたよね。

藤井:そうです。僕はビームスで働いていたこともあって、ノンネイティブでもたびたび共同で、プロダクトを手掛けていました。ビームスの方とはよく「次に一緒に作るなら何だろう?」という話もするんですけど、そのなかでワイルドシングス、デナリジャケットの名前が出てきて。ビームスは上陸当時からセレクトしていて、彼らにとっても定番のアウターなんですよね。そんな話から、別注でデナリジャケットを作れることになりました。2017年の第一弾の別注は、発売初日で完売と大好評。以来、毎年別注のデナリをリリースしています。
――別注ならではの違いを教えていただけますか?
藤井:基本的なデザインとディテールは変えていません。ただパターンニングはノンネイティブのオリジナルで、身頃脇に接ぎを加えたり、要所にダーツを加えて、立体的な着心地になっています。丈も、インラインよりやや長めにしていますね。
2020年の別注デナリジャケット。
この年からゴアテックス
3レイヤーを採用。
――あとはノンネイティブでもお馴染みの、ゴアテックスファブリックスですよね。通常、ファッションブランドではなかなか使うことができない、ノンネイティブならではのスペックです。
藤井:そうですね。2019年まではeVentを使っていたのですが、こちら2020年の別注からはゴアテックスの3レイヤーを使っています。またノンネイティブの別注はすべて日本製です。あと細かい違いだと、フロントの比翼の、ベルクロのオス・メスを反対にしています。理由は袖を動かすと、袖のベルクロがフロントのベルクロにくっついちゃうから。
――なるほど。ノンネイティブの別注デナリジャケットには、藤井さんが実際に着用して得た経験が、いろいろとフィードバックされているんですね。

藤井:もちろんそうです。年々、シェルの素材やディテールも微調整していますよ。例えば昨年の2021年モデルでいうと、シェルにはノンネイティブのコレクションで使っているリップストップナイロンと、杢調のナイロンオックスフォードを採用しています。どちらかというリップストップがアクティブ、オックスフォードがクラシカルなアウトドアウェアな雰囲気がありますね。あと胸のタグは、2019年モデルからグログランテープにロゴ刺繍を入れたものにしています。ここだけでも、通常の織りネームの5倍ほどのコストがかかっているんですよ(笑)。
2021年の別注デナリジャケット。
5色のカラバリだけでなく、
2種の異なるシェルもラインナップした。
――コーディネートでいうと、藤井さんはノンネイティブの別注モデルをどのように着こなしていますか?

藤井:僕はほとんどタウンユースなんですが、レザーパンツと合わせるのが好きですね。
――なるほど、藤井さんらしい、ノンネイティブらしいコーディネートですよね。
藤井:そうそう(笑)。ほとんど、ノンネイティブのパンツに似合うように作っている、というのもあるので。程よくクリーンなギャバジンや、ブーツとも相性がいいと思いますね。
――アウトドアギアとして機能も一級品なうえ、レザーパンツに合わせられる。山でも都会でもシームレスに使えるって、まさにノンネイティブならではのプロダクトですよね。

藤井:そうした完成度は、意識して作っていますね。でもインラインのデナリジャケットも、少しずつマイナーチェンジやアップデートをしていますよね。
誕生からもうすぐ30年
未だ支持されているのはすごいこと
2022 FALL & WINTER WILD THINGS DENALI JACKET
――そうですね。2022年の秋冬モデルでは、防水透湿性としなやかさを併せ持つ、パーテックス シールドエアのシェルを採用したりと、フィールドでもタウンユースでも快適な使い勝手を常に追求しています。

藤井:ノンネイティブの別注は、そんなインラインに対抗するようにモノ作りをしていますよ(笑)。でもデナリジャケットって1983年の誕生からもうすぐ30年経ちますが、ほとんど形を変えずに、未だに支持されているのはすごいことですね。これはこれでしかない、というアウターですもんね。
――やはりずっと以前から知る、藤井さんが話すと説得力がありますね。ところで、2022年の別注デナリジャケットは……。

藤井:まだ多くは話せませんが、乞うご期待ということで。年末を楽しみにしていてください。
PROFILE
藤井 隆行
ノンネイティブ デザイナー
人気ショップのスタッフを経たのち、2001年からノンネイティブのデザイナーに就任。都会的なデザインとシルエット、機能にも優れたコレクションで確固たる支持を築き、その名の通り、どこにも属さない(「non」「native」)無二の存在となっている。さまざまな実力派ブランドとのスペシャルなコラボも大人気で、国内外から高い注目が寄せられている。
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