WILD THINGS

vol.6
近澤 一雅
Kazumasa Chikazawa
スタイリスト
――アウトドアのエキスパートとして活躍しているスタイリストの近澤さん。スタイリストとして、ここまでアウトドアを極めている人って珍しいですよね?
近澤:まずスタイリストというとファッションが一般的で、僕のようなアウトドアをメインにしている人は少ないですからね。
――もともとアウトドアが好きだったの?
近澤:野球少年で、外で遊び回るやんちゃなタイプだったので、好きは好きでしたね。アウトドアがメインの仕事になり始めたのは10年前くらいですかね。もともとアメカジバカでモノ好きだったんですけど、仕事でアウトドアのギアに真剣に触れ始めるようになってから、どんどんのめり込んでいったんです。
――それまたどうして?
近澤:アウトドアのギアって、なぜこういう形をしているのか? なんでこういう作りをしているのか? 必ず意味があるモノばかりなんですよね。格好じゃなくてリアルっていうか。そこに興味が惹かれて、実際に使って試したくなりました。ギアの性能、意味やよさって実際に体験しないとわからない、もしくは体験するのが手っ取り早いですから。まあ、よくあるもの好きな男の子みたいなもんです。
――でも仕事としてメインとなるのもすごいよね。性に合った?
近澤:たしかに振り返ってみると、そうかもしれません。アウトドアのギアって嘘をつけないし、真面目なモノがほとんどなんですけど、アウトドアに関わる人もそうした方が多くて、やりがいがありましたね。
――普段はフランクだけど、仕事は真面目な人が多い。近澤さんもそうですよね。
近澤:まあ普段はおちゃらけたことしか言ってないですからね(笑)。
――最近はいつになくアウトドア人気が高まっているけど、業界的にも盛り上がってるの?
近澤:正直に言って、調子はどこもいいと思います。大小問わず、どこのメーカー、ブランドもいいんじゃないかな? コロナ禍で日本だけでなく世界的にもアウトドア人気らしく、工場の生産が追いついていない商品も目立ちますね。
――ところでどれくらいの頻度でアウトドアフィールドに出掛けてるの?
近澤:そうですね……。キャンプだけで数えると2か月くらい、年間60日はしてるかな。
――すると、週に一回はキャンプしているくらいだね!
近澤:あ、そんなにしてるんだ(笑)。でも初めて買ったテントは山岳用の小さいものだったけど、まるで別荘を手に入れたような感覚だったな……。自宅以外でもプライベートな空間が作れることが嬉しくて。
――そういう感覚になれるんだ。
近澤:なりましたね~。今だと何十日も屋外で寝泊まりすることも慣れてるし、都会のアスファルト以外ならどこでも寝られますね。ただ先輩方も言いますが、部屋の布団で寝れるなら、絶対そっちの方がいいです。当たり前か(笑)。先日なんか、キャンプで予期せぬ土砂降りにあって、寝てたら足が水に浸かってたもんなぁ。
――やはりエピソードの度合いが違うよね。
近澤:まあ場数と慣れですね。でも布団で寝たいのに、出張でホテルを用意されると、なぜか体調が悪くなるのが悲しいんです……(笑)。
――さすがアウトドアーズマンだね(笑)。アウトドアシーンで危険な場面に遭遇したことはある?
近澤:う~ん、登山で下山しているときに、落石に遭ったことかな。僕より上を下山してた人が直径30㎝くらいの浮石を踏んじゃって、下山路を僕の方にかなりのスピードで転がってきたんです。気付いたときには「これはもう、脚にぶつかる」と思ったんだけど、間一髪で避けることができました。ただずりずり脚にこすれて血だらけになりました。やはり登山は低山でも長いパンツを穿かなきゃと思いましたね(苦笑)。
――直撃しなくてよかった……。
近澤:僕は登山もかなりやるんで、たまたまで運が悪かっただけですけどね。それ以外はほとんどないし、普通に注意して過ごしてたら、そんなに危ないことはないと思います。
――ちなみに怖さという理由ではなくて、まだ一歩、アウトドアに足を踏み出せないという方もいるようです。近澤さんがアドバイスを送るとしたら?
近澤:例えば単純に、アウトドアに関するカッコいいなと思ったモノがあったり、出会ったりしたら、とりあえず買ってみるといいんじゃないですかね? すると自然と使いたくなるから。モノから入るのもいいと思いますよ。僕もそうでしたし。 あとおそらく足を踏み出せないのは、アウトドアに出て、うまくやれなかったりできなかったりしたらカッコ悪いって、考えてる人が多いような気がします。全くそんなことはなくて、アウトドアはカッコいい、カッコ悪いとか、そういうんじゃないから(笑)。むしろ、失敗しておもしろい方がモテます(笑)。気分的にも解放的になれるし、学べる、発見できることがあるから、アウトドアって楽しいんだと思いますよ。
アウトドアに関するあらゆることに精通し、「アウトドアはモノから入るのもいいきっかけになる」と話す近澤さん。
後編は近澤さんの愛用の品やオススメのギア、プロの裏技について話を聞いていきます。
Profile
近澤 一雅/Kazumasa Chikazawa
1977年三重県出身。アウトドアに関するファッション誌や広告のスタイリングで引っ張りだこ。アウトドア以外のメーカーやブランドにおける、アウトドア関連の商品開発、コンサルティングでも活躍している。大の虎党で、好きな言葉は「代打八木」。
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