WILD THINGS

vol.5 後編
Shogo
モデル
――Shogoさんといえば、モデル業界きっての日本酒好きとして知られてるよね?
Shogo:大好きですね。先日横浜駅にオープンした、「2416MARKET」のアンバサダーに就任させていただき、「天青」などで知られる湘南の酒蔵、「熊澤酒造」に取材させていただいたり、酒米の田植えに参加させてもらいました。貴重な体験でしたね。
――どうしてまた、それほど日本酒が好きに?
Shogo:6年前に渋谷のお店で、ワイングラスで日本酒を頂いたことがきっかけでした。今までに感じたことがなかった華やかな香りが味わえて、飲み比べしながらお店の方に丁寧に、特徴を教えてもらえた。そこで「日本酒ってこんなにおいしいんだ」と気付かされたんです。それから大学時代の友人の親友が、「手取川」で知られる石川県の吉田酒造店の方だと聞き、お願いして蔵を見学させてもらいました。吉田酒造店では昔ながらの山廃仕込みを行っていますが、意外にも若い人が多く働いていた。それから長野の「真澄」、宮坂醸造さんも見学させていただき、酒蔵の聖域である麹室まで見せてもらえたのは感動ものでしたね。

 また自分たちのお酒の個性は地元のもので表現することや、地元のお米を使ったり自分たちでお米を作ること。冷蔵にできるだけ電気を使わないことなど、ただおいしいお酒を作ることだけではなくて、地域や環境を広く考えていたことに感動しました。地に根ざした酒作りや、人にも地球にも優しい持続可能な酒作りなども話していましたね。消費者の対象も、地元の昔ながらのお酒が好きな方向けと、今のおいしいお酒と広く作っているんですよ。
――自ら酒蔵まで行く、行動力がすごいね!
Shogo:凝り性なんですよね。ワイングラスでいただいたお店からはじまり、酒蔵、若い世代の話を聞いてどんどんのめり込んでいった。真剣な方々の゛思い″に弱いんですよ。あと自分が日本酒のことをもっと知りたいと進んでいくうち、この素晴らしさを僕の周りの人や、若い人にも知ってもらいたい、教えてあげたいという思いも芽生えてくる。すると知らず知らずのうち、もっといろいろ見たいと動いてますね。
――最近ではスーツケースが変形する、移動式屋台を作ったとか?
Shogo:はい。以前沖縄に遊びに行った際、沖縄の友人たちに日本酒の利き酒をしたことがありました。沖縄は泡盛が主流ですから、日本酒のおいしさも新鮮でウケがよかったんですよ。それがきっかけで、移動式屋台があったらもっと盛り上がるんじゃ?と、工務店の「ORGAN CRAFT」とコラボで制作することができました。スーツケースが変形するのでいろんなところに足を運べて楽しく飲めますし、今後はイベントも考えています。
――日本酒の他では、H&Mと協力して行っている、障害がある子どもたちに向けたファッションスタイリングイベント、「みだしなみクラブ」もいいイベントだよね。あのイベントはどういう経緯で行うことになったの?
Shogo:もともとは僕が26歳のときから、東京都立久我山青光学園の特別支援学校にボランティアで行っていたんです。当時、モデルの仕事で悩んでいたこともあったり、将来を考えて、ボランティアを通じて勉強しようという思いもあって。そこですごくお世話になった三浦千尋先生という方がいて、この人からたくさんのことを吸収したい、と頑張っていました。ただ修学旅行の引率後の打ち上げで突然、三浦先生に「もうこちら側(教師)に来るな」と言われて。どうして!?、と憤ったんですが、「あなたにはモデルとして頑張ってほしい。来るとしたら、モデルとして関わって欲しい」と話されました。三浦先生なりの僕への発破でもあったと思うんですが、同時に先生や親御さん達は、子どもたちの身だしなみについての教育が難しいと感じていたようでした。もしモデルという専門の人が教えてくれたら、生徒たちも違ってくるかもしれないと。

 そこで考えたのが、2017年から行っている「みだしなみクラブ」。H&Mに生徒のスタイリング用のウェアを提供していただいて、僕が男子のスタイリング。妻の花楓が女子のコーディネートを組んで、プロのカメラマンに撮影してもらい、写真を記録して生徒に渡すイベントです。子どもたちはモデルになりきってポーズを決めたり、周りに褒められて喜んでいる姿が印象的でしたね。イベント自体も盛り上がってよかったのですが、その後、子どもたちが一段と、自分の意思で行動するようになったそうなんです。おそらく「見られる」という意識から、さまざまなことにいい影響が働いているのではと。三浦先生と親御さんにとっても予想外の喜びだったそうで、僕らもとても嬉しかった。まさにモデルの立場だからできる、関わり方でしたからね。
――立派な社会貢献だよね。ちなみに、最近ハマり始めたものはある?
Shogo:農業ですね。横浜郊外にモデル仲間と畑を借りて始めたのですが、最近は育苗からどっぷりハマってる。自宅の屋上でもたくさん育て始めてて、先日妻が、屋上がポットやプランターだらけになっていることに気付き、唖然としてました(笑)。できた野菜を欲しいという仲間や編集の方、スタッフの方などに配ったりもしてますよ。
――モデルという仕事に大きく関係なくとも、ボランティアや趣味でもエネルギッシュ。やはり今までになかった新しいモデル像では?
Shogo:自分でもここ最近、立ち位置がわかってきたかもしれません(笑)。でもモデル人生って短いと思うし、やってる間にセカンドキャリアを意識しておかないといけないと思う。だからモデルだけでなく、いろいろ経験をしておかないと。他の仲間に対しても、自分の経験からスピーカーとして伝えられるメリットもあると思います。

 あとモデルをしてるからこそ、気付くこともあるはず。例えば農作業をしててふと思ったんですが、カッコいいプランターや支柱があったらおもしろいのに。意外とないんですよね?
――たしかにそうだよね。Shogoさんはモデルエージェンシーの代表として、他のモデルにそうした姿勢を教えているの?
Shogo:教えるとか、引っ張っていくというよりは、一緒に横並びで頑張っていきたい。モデルは個の集まりだし、強制はしたくありません。ただ前回話した僕のロンドンでの経験だったり、笑顔のあるところ、楽しんでる人に、自然と人は集まる。そうした魅力的なモデルは輩出していきたいなと思っていますね。
Profile
Shogo/
1985年愛知県出身。2007年からさまざまなファッション誌、CM、広告で活躍。
東日本大震災の発生からボランティア活動を行い、復興支援ボランティア団体「This is a pen」の代表を務める。
2018年にはモデルエージェンシー「VELBED.」を設立。
多くのモデル仲間、業界を問わず慕われる存在で、マルチな活躍を見せている。
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